Tomorrow is Another Day

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コロナ禍で増える「巣ごもり需要」に対応する企業の取組み

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Image by drewstewart from Pixabay

新型コロナウィルスの影響で、多くの業界が大きな影響を受けています。また、休校や外出自粛、在宅勤務の長期化により、人々の消費スタイルにも変化が表れてきています。

「巣ごもり需要」と呼ばれる、家の中で過ごすための消費が盛んになり、外出を伴う消費は落ち込んでいます。

前回はそんな変化について記事にしました。

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今回は、この「巣ごもり需要」の増加に伴って、各業界が始めている新たな取り組みを見ていきたいと思います。

 

店舗販売からテイクアウト・ECへ

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緊急事態宣言の発出後、商業施設や店舗は休業を余儀なくされたり、売上の激減を経験しているところも少なくありません。

しかし、外食は控えても、家で家族全員が3食食べるようになれば、「中食(なかしょく)」の需要は増えます。中食とは、調理済みの食品を持ち帰って自宅で食べることです。スーパーのお惣菜やコンビニ弁当、デリバリーも含まれます。

その需要を取り込むべく、飲食店ではテイクアウトに力を入れ、割引サービスや子供向けメニューの提供などを始めています。テイクアウトやドライブスルーの利用率が増えているだけでなく、家族全員分を購入するため、単価も高くなっているようです。

www.favy.jp

また、PayPayは加盟する全国の飲食店について、アプリ内で事前注文ができて決済も完了できるサービスを6月から開始します。

店舗にとっては事前注文のプラットフォームを提供してもらえ、利用増加を見込めますし、ユーザーにとっては利便性が上がるサービスになりそうです。

www.bcnretail.com

飲食店以外で見てみると、無印良品Amazonでの商品販売を開始しました。全国で多くの店舗を休業しており、その売上減を補う狙いがあるようです。また、ECに注文が集中しすぎて自社の発送システムに遅れが生じていることも理由だと報じられています。

特に、「巣ごもり需要」で人気の高い収納用品、キッチン用品などを揃えているとのこと。

www.nikkei.com

ファッション業界・化粧品業界は外出機会が減ることでカテゴリーの需要自体が下がっています。3月度の統計によると、9割以上の企業で前年比売上が減少していました。そんな中で、ECの売上は伸びています。

netshop.impress.co.jp

とはいえ、全体での売上は下がっています。新型コロナウィルス の流行の第2波、第3波も予想されているため、新しい施策を売っていくことが求められているのです。

みなさんも、近所のお店が休業していて、必要な商品をオンラインで購入することが増えているのではないでしょうか。宅配便の段ボールが、どの家庭でも溢れていそうですね。

 

対面からオンライン窓口へ

サービス業や金融、住宅業界でも、これまでの対面重視からオンライン窓口への移行が進んでいます。

まずは、ウェディング業界。結婚式が軒並みキャンセルとなり、ダメージを受けている業界ですが、オンラインでの結婚式の相談は8倍に増えています。新コロナウィルスの危機によって、結婚を考える人が増えているようです。

そのため、ワタベウェディングはオンラインカウンターの人員を10倍以上増員。コロナ収束後の挙式の相談を受けて、今後の売上復活への努力をしています。

digital.asahi.com

「オンライン相談」は、ウェディング業界だけでなく、住宅業界や保険業界でも伸びています。実際に展示場や店舗に出向かなくても、オンラインで担当者と相談できるのは、実は顧客にとっては利便性が高いかもしれません。

そうは言っても、住宅展示場などは実際に見てみたいものです。ヘーベルハウスVRや3Dで間取りやモデルハウスを体験できる仕組みができています。

これまでは、バーチャル体験は補助的な役割でしかなかったと思われますが、今後は主要な役割を果たしていく可能性もあります。

今後も、コロナウィルスの流行の第2波、第3波が来ると想定すると、様々な業界において、オンライン上でも滞りなくビジネスを進められる仕組みの整備は急務と言えるでしょう。

www.asahi-kasei.co.jp

保険比較サイト「保険市場」では、1月以降オンラインでの保険申込が急増しているようです。在宅者が増え、保険申込をオンラインで完結させる人が増えていると思われます。また、感染症の不安から、医療補償を考え直す人が多いのかもしれません。

www.hokende.com

結婚式の相談にせよ、保険や住宅の相談にせよ、「対人」の相談はとても重要です。自分でHPやインターネット上の情報を調べて、すべて判断して決められる人は少ないでしょう。

しかし、オンラインミーティングが多くの家庭で可能になった今、必ずしも店舗等での「対面」での相談や販売は必要ではなくなります。そのことに、多くの消費者やビジネスパーソンが気付き始めているのではないでしょうか。

 

ライブ動画で売る!新しいプロモーション

外出機会が減れば、化粧品の需要も減少します。さらに、外出時もマスクをするので、露出する面積も減っています。

ドラッグストアは休業していませんが、テスターなども中止され、店頭で試して選ぶこともできず、「化粧品を選ぶ楽しさ」が失われています。

そんな状況下で注目されているのが、ライブコマースです。アットコスメでは、インスタライブの動画で、スタッフがお薦めのコスメやメイクのコツ、お悩み解消法などをアドバイスしています。

動画でテクニックやトレンドを学んだあと、気に入ったものはオンラインで購入することができます。「メイクの楽しさ」の気持ちを盛り上げるという意味では、非常に効果的だと思います。

もともとメイク動画やライブコマースは人気が高まっていましたが、今後はさらに身近なものとなっていきそうです。

forbesjapan.com

さらに面白いのは、ゲーム内でのコンサートです。世界的人気ゲーム『フォートナイト』では、以前からゲーム内にステージを作ってミュージシャンのアバターを登場させ、バーチャルコンサートを開催しています。

4月末にはアメリカの人気ラッパーであるトラヴィス・スコットが新曲を披露するライブを開催。なんと累計2,700万人が世界中から参加したそうです。

リアルのどんな大きなフェスでも、これほどの人数にリーチすることは不可能です。世界最大級のグラストンベリー・フェスティバルでも18万人なので、桁がまるで違いますね。

automaton-media.com

国内外の音楽イベントがことごとくキャンセル・延期になっている今、巨大な視聴者を抱えるプラットフォームとして、ゲームの存在感が高まっていきそうです。


新たな需要を喚起する新提案

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Image by Rudy and Peter Skitterians from Pixabay

需要減少に苦しんでいる業界も、新たな提案をすることで需要を喚起しています。

花のサブスク(定額制サービス)も、注目が集まっているサービスのひとつです。

Bloomee LIFEは、毎週季節の花束がポストに届くサービスです。全国の提携店舗から送られてくるというもので、気軽に家の中で花を楽しむことができます。

同様のサービスとして、おやつやコーヒー豆が定期的にセレクトされて届くといったものが、人気を集めているようです。

xtrend.nikkei.com

プロが選んだ商品が届くので、自宅時間を少しランクアップさせたり、刺激を取り入れたりすることができます。また、箱を開けるときのワクワク感も重要なポイントでしょう。

ショッピングで新たな商品に出会う楽しさを奪われてしまった消費者に、新たな楽しさを提案しています。

また、zoomなどのビデオ会議システムを使ったリモートサービスも人気を集めています。 

オンラインでのフィットネス動画配信サービスとして、Lean Bodyなどが会員数を伸ばしていますが、さらに、リアルタイムでzoomを使って自宅トレーニングを提供する「nt(ニト)」も話題です。 

トレーナーが画面越しに手を振ると、ユーザーも画面上で反応を返すことができます。動画を見て一人でやるよりも、一体感があるのが人気の理由。一人暮らしなどの人に、エクササイズとコミュニケーションを提供できるのが魅力です。

また、個人でやっている音楽教室でも、zoomやLINEのビデオ通話を使ったレッスンを行うなど、工夫を凝らしています。

digital.asahi.com

これまでのYouTube動画などと異なるのは、一方的なコンテンツを視聴するのではなく、リアルタイムでコミュニケーションが取れるという点でしょう。 

 

オンラインはリアル店舗の代替となるのか?

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Image by Free Photos from Pixabay

外出自粛という大きな困難に直面している中、多くの業界で新たな売上を生み出すための取り組みが生まれています。

そして、オンラインフィットネスのように、このコロナ禍をきっかけとして普及速度を増したサービスも多く登場しています。

実際に利用してみると、その便利さに驚く消費者も多いでしょう。私もLean Bodyを利用し始めましたが、「これまで店舗に言っていた時間や手間はなんだったのか」と愕然としています。

こうしてみると、これまで対面で行われてきたサービスの多くは、オンラインサービスによって代替が可能だと言えそうです。

そのことに企業側も消費者側も気づきつつあります。みなさんも、今回の外出自粛をきっかけとして、消費の変化や仕事・生活上の気づきを感じているのではないでしょうか。

こういった変化や気づきは、一過性のもので終わらないと私は考えます。コロナウィルスの流行が収束しても、社会の変化は続いていくでしょう。

それでは、コロナ後の世界はどのようになっていくのでしょうか。その点について、次回は考えてみたいと思います。