前回の記事で、睡眠への意識の高まりを背景に、「睡眠ビジネス」が成長しているということを書きました。
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その中で、特に注目を集めているのが「スリープテック」。最新のテクノロジーを使って、睡眠の悩みを解決したり、睡眠の質を高めるサポートをしてくれるものです。
国内外のさまざまな企業が参入しており、大手メーカーからスタートアップまで混在しています。
今回は、その中で面白い事例を取り上げて、分析してみます。
「スリープテック」とは
スリープテックとは、センサーやスマートウォッチなどのウェアラブル端末、アプリなどを使って睡眠の状態をトラッキングしたり、入眠や熟睡をサポートするといったテクノロジーを指します。
これまでとはまったく異なるアプローチで、寝不足や不眠に悩まされる現代人としては、一度は試してみたくなるものばかりです。
スリープテックの4つの機能
スリープテックとして登場した商品やサービスは、大きく分けて下記の4つの機能を備えています。
- 睡眠の状態を計測する
- 入眠や熟睡をサポートする
- 目覚めをサポートする
- 睡眠環境を整える
もちろん、1つの商品やサービスで複数の機能を持っているものも多くあります。
すでにアプリなど、使ってみたことのある方もいるでしょう。ここでは、最新の事例に絞ってみていきます。
最新のスリープテック事例
1. ヘッドバンド型睡眠デバイス
まずは、新しい形の睡眠デバイスから。
フィリップス・ジャパンが2019年11月に発売した「SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド」は、深い睡眠を増やすことで、睡眠の質を向上させることを目的としたヘッドバンド型の商品です。
このデバイスが脳波を測定し、深い睡眠のときに内蔵スピーカーからオーディオトーンを流します。これにより、深い睡眠の時間を伸ばすことができるというもの。
また、アプリと連動しており、睡眠のデータを可視化してくれます。深い睡眠がどれくらい取れているかをビジュアルで確認できます。
公式サイトのレビューを見てみると、「朝の目覚めがスッキリした」「昼間の眠気を感じなくなった」などの効果があるようです。
価格は現時点では42,380円(税別)とのことで、ややお高めです。
2. 快眠環境サービス
こちらは、パナソニックが寝具メーカーの西川とコラボして提供する「快眠環境サポートサービス」。2020年の3月18日からサービス開始予定とのこと。
西川のセンサー搭載マットレスが、睡眠時間、眠りの深さ、寝付くまでの時間、途中で起きた回数などを計測。睡眠の状態を長さ、深さなどといった項目でデータ化し、アプリで表示してくれます。
また、ユーザーの睡眠データに基づき、睡眠アドバイスも受けられます。
さらに、家電と連携して、睡眠状態に合わせてエアコンの温度や風向きを変えたり、照明の明るさを調節してくれます。
まさに、スマートハウスが寝室にも進出してきた形ですね。
マットレスの購入費用が140,800円(税込)、サービス料が990円(税込、月額)とのこと。
3. 睡眠ゲーム
歩行や移動をエンターテインメント化した「Pokemon GO」が、今度は睡眠をエンターテインメント化。
2019年5月の事業戦略発表会では、2020年より「Pokemon Sleep」がサービス開始予定と発表されました。
また、「Pokemon GO Plus +」という新型デバイスも開発。これを枕元に置いて寝ることで、内蔵センサーが睡眠の状態を計測し、ゲームと連動するようです。
4. 感覚を刺激して睡眠を導くツール
「Sleepion(スリーピオン)」は、聴覚や嗅覚、視覚を刺激して睡眠へと誘う快眠ツール。
リラックスさせる音楽を360°方向に広げ、アロマシートで好きな香りや眠りに導く香り、ロウソクのようにゆらぐ明かりで寝室を睡眠に最適な状態に整えてくれます。
最新の「Sleepion3」は手頃な価格を追求し、9,800円(税別)という安さ。他の商品よりは試しやすそうですね。
5. 睡眠専用イヤホン
最後は、睡眠専用イヤホンです。「寝ホン」「デジタル耳栓」などと言われ、さまざまな商品が出てきていますね。
また、スリープテックではスタートアップや新規商品開発の動きも盛んです。
その中で、クラウドファンディングで資金調達をしたばかりの「Neurogixs(ニューロジックス)A1」。
これは、自分の好きな音楽を睡眠に適した音楽に変換してくれるイヤホンです。自分の好きな音楽をこのイヤホンで聞くと、睡眠時の脳波(θ波)のサウンドで再生してくれるというもの。
https://oceans.tokyo.jp/health/2020-0123-5/
最後のフロンティア?「スリープテック」はまだまだ拡大途中
現在、既存の企業からスタートアップまで、さまざまなプレイヤーがスリープテック市場に参入しています。
脳波に作用するものから環境を整えるもの、睡眠をエンタメにしてしまうものまで、新たなアプローチが続々と登場しています。今後もこの流れは続き、スリープテック市場は拡大していきそうです。
起きている時間を便利にしたり快適にしたりする商品やサービスはこれまでたんさんありましたが、「寝ている時間」というのは、企業にとってもテクノロジーにとっても、まだまだ未開拓のフロンティアなのかもしれません。
今後も引き続きウォッチしていきたいと思います。