Tomorrow is Another Day

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コロナ禍で増える「巣ごもり需要」に対応する企業の取組み

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Image by drewstewart from Pixabay

新型コロナウィルスの影響で、多くの業界が大きな影響を受けています。また、休校や外出自粛、在宅勤務の長期化により、人々の消費スタイルにも変化が表れてきています。

「巣ごもり需要」と呼ばれる、家の中で過ごすための消費が盛んになり、外出を伴う消費は落ち込んでいます。

前回はそんな変化について記事にしました。

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今回は、この「巣ごもり需要」の増加に伴って、各業界が始めている新たな取り組みを見ていきたいと思います。

 

店舗販売からテイクアウト・ECへ

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緊急事態宣言の発出後、商業施設や店舗は休業を余儀なくされたり、売上の激減を経験しているところも少なくありません。

しかし、外食は控えても、家で家族全員が3食食べるようになれば、「中食(なかしょく)」の需要は増えます。中食とは、調理済みの食品を持ち帰って自宅で食べることです。スーパーのお惣菜やコンビニ弁当、デリバリーも含まれます。

その需要を取り込むべく、飲食店ではテイクアウトに力を入れ、割引サービスや子供向けメニューの提供などを始めています。テイクアウトやドライブスルーの利用率が増えているだけでなく、家族全員分を購入するため、単価も高くなっているようです。

www.favy.jp

また、PayPayは加盟する全国の飲食店について、アプリ内で事前注文ができて決済も完了できるサービスを6月から開始します。

店舗にとっては事前注文のプラットフォームを提供してもらえ、利用増加を見込めますし、ユーザーにとっては利便性が上がるサービスになりそうです。

www.bcnretail.com

飲食店以外で見てみると、無印良品Amazonでの商品販売を開始しました。全国で多くの店舗を休業しており、その売上減を補う狙いがあるようです。また、ECに注文が集中しすぎて自社の発送システムに遅れが生じていることも理由だと報じられています。

特に、「巣ごもり需要」で人気の高い収納用品、キッチン用品などを揃えているとのこと。

www.nikkei.com

ファッション業界・化粧品業界は外出機会が減ることでカテゴリーの需要自体が下がっています。3月度の統計によると、9割以上の企業で前年比売上が減少していました。そんな中で、ECの売上は伸びています。

netshop.impress.co.jp

とはいえ、全体での売上は下がっています。新型コロナウィルス の流行の第2波、第3波も予想されているため、新しい施策を売っていくことが求められているのです。

みなさんも、近所のお店が休業していて、必要な商品をオンラインで購入することが増えているのではないでしょうか。宅配便の段ボールが、どの家庭でも溢れていそうですね。

 

対面からオンライン窓口へ

サービス業や金融、住宅業界でも、これまでの対面重視からオンライン窓口への移行が進んでいます。

まずは、ウェディング業界。結婚式が軒並みキャンセルとなり、ダメージを受けている業界ですが、オンラインでの結婚式の相談は8倍に増えています。新コロナウィルスの危機によって、結婚を考える人が増えているようです。

そのため、ワタベウェディングはオンラインカウンターの人員を10倍以上増員。コロナ収束後の挙式の相談を受けて、今後の売上復活への努力をしています。

digital.asahi.com

「オンライン相談」は、ウェディング業界だけでなく、住宅業界や保険業界でも伸びています。実際に展示場や店舗に出向かなくても、オンラインで担当者と相談できるのは、実は顧客にとっては利便性が高いかもしれません。

そうは言っても、住宅展示場などは実際に見てみたいものです。ヘーベルハウスVRや3Dで間取りやモデルハウスを体験できる仕組みができています。

これまでは、バーチャル体験は補助的な役割でしかなかったと思われますが、今後は主要な役割を果たしていく可能性もあります。

今後も、コロナウィルスの流行の第2波、第3波が来ると想定すると、様々な業界において、オンライン上でも滞りなくビジネスを進められる仕組みの整備は急務と言えるでしょう。

www.asahi-kasei.co.jp

保険比較サイト「保険市場」では、1月以降オンラインでの保険申込が急増しているようです。在宅者が増え、保険申込をオンラインで完結させる人が増えていると思われます。また、感染症の不安から、医療補償を考え直す人が多いのかもしれません。

www.hokende.com

結婚式の相談にせよ、保険や住宅の相談にせよ、「対人」の相談はとても重要です。自分でHPやインターネット上の情報を調べて、すべて判断して決められる人は少ないでしょう。

しかし、オンラインミーティングが多くの家庭で可能になった今、必ずしも店舗等での「対面」での相談や販売は必要ではなくなります。そのことに、多くの消費者やビジネスパーソンが気付き始めているのではないでしょうか。

 

ライブ動画で売る!新しいプロモーション

外出機会が減れば、化粧品の需要も減少します。さらに、外出時もマスクをするので、露出する面積も減っています。

ドラッグストアは休業していませんが、テスターなども中止され、店頭で試して選ぶこともできず、「化粧品を選ぶ楽しさ」が失われています。

そんな状況下で注目されているのが、ライブコマースです。アットコスメでは、インスタライブの動画で、スタッフがお薦めのコスメやメイクのコツ、お悩み解消法などをアドバイスしています。

動画でテクニックやトレンドを学んだあと、気に入ったものはオンラインで購入することができます。「メイクの楽しさ」の気持ちを盛り上げるという意味では、非常に効果的だと思います。

もともとメイク動画やライブコマースは人気が高まっていましたが、今後はさらに身近なものとなっていきそうです。

forbesjapan.com

さらに面白いのは、ゲーム内でのコンサートです。世界的人気ゲーム『フォートナイト』では、以前からゲーム内にステージを作ってミュージシャンのアバターを登場させ、バーチャルコンサートを開催しています。

4月末にはアメリカの人気ラッパーであるトラヴィス・スコットが新曲を披露するライブを開催。なんと累計2,700万人が世界中から参加したそうです。

リアルのどんな大きなフェスでも、これほどの人数にリーチすることは不可能です。世界最大級のグラストンベリー・フェスティバルでも18万人なので、桁がまるで違いますね。

automaton-media.com

国内外の音楽イベントがことごとくキャンセル・延期になっている今、巨大な視聴者を抱えるプラットフォームとして、ゲームの存在感が高まっていきそうです。


新たな需要を喚起する新提案

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Image by Rudy and Peter Skitterians from Pixabay

需要減少に苦しんでいる業界も、新たな提案をすることで需要を喚起しています。

花のサブスク(定額制サービス)も、注目が集まっているサービスのひとつです。

Bloomee LIFEは、毎週季節の花束がポストに届くサービスです。全国の提携店舗から送られてくるというもので、気軽に家の中で花を楽しむことができます。

同様のサービスとして、おやつやコーヒー豆が定期的にセレクトされて届くといったものが、人気を集めているようです。

xtrend.nikkei.com

プロが選んだ商品が届くので、自宅時間を少しランクアップさせたり、刺激を取り入れたりすることができます。また、箱を開けるときのワクワク感も重要なポイントでしょう。

ショッピングで新たな商品に出会う楽しさを奪われてしまった消費者に、新たな楽しさを提案しています。

また、zoomなどのビデオ会議システムを使ったリモートサービスも人気を集めています。 

オンラインでのフィットネス動画配信サービスとして、Lean Bodyなどが会員数を伸ばしていますが、さらに、リアルタイムでzoomを使って自宅トレーニングを提供する「nt(ニト)」も話題です。 

トレーナーが画面越しに手を振ると、ユーザーも画面上で反応を返すことができます。動画を見て一人でやるよりも、一体感があるのが人気の理由。一人暮らしなどの人に、エクササイズとコミュニケーションを提供できるのが魅力です。

また、個人でやっている音楽教室でも、zoomやLINEのビデオ通話を使ったレッスンを行うなど、工夫を凝らしています。

digital.asahi.com

これまでのYouTube動画などと異なるのは、一方的なコンテンツを視聴するのではなく、リアルタイムでコミュニケーションが取れるという点でしょう。 

 

オンラインはリアル店舗の代替となるのか?

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Image by Free Photos from Pixabay

外出自粛という大きな困難に直面している中、多くの業界で新たな売上を生み出すための取り組みが生まれています。

そして、オンラインフィットネスのように、このコロナ禍をきっかけとして普及速度を増したサービスも多く登場しています。

実際に利用してみると、その便利さに驚く消費者も多いでしょう。私もLean Bodyを利用し始めましたが、「これまで店舗に言っていた時間や手間はなんだったのか」と愕然としています。

こうしてみると、これまで対面で行われてきたサービスの多くは、オンラインサービスによって代替が可能だと言えそうです。

そのことに企業側も消費者側も気づきつつあります。みなさんも、今回の外出自粛をきっかけとして、消費の変化や仕事・生活上の気づきを感じているのではないでしょうか。

こういった変化や気づきは、一過性のもので終わらないと私は考えます。コロナウィルスの流行が収束しても、社会の変化は続いていくでしょう。

それでは、コロナ後の世界はどのようになっていくのでしょうか。その点について、次回は考えてみたいと思います。

新型コロナウィルスの影響で変わる消費スタイル

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Image by Anrita1705 from Pixabay

新型コロナウィルスの流行により、日本では全国に緊急事態宣言が発令され、小・中・高校の全国一斉休校、イベントの中止、そして在宅勤務と、多くの人々が外出を避け、自宅で過ごす時間が長くなっています。

その影響で、多くの飲食業やイベント関連業、旅行業、さらに学校や飲食店に食品を提供していた生産農家といった業界で、需要の大きな落ちこみが起きています。

今回の記事では、コロナの影響による需要の落ち込みの概要をおさらいしつつ、外出自粛の影響で変化する消費スタイルについて注目したいと思います。また、生き残りをかけ、さまざまな業種がそのスタイルに合わせて取り組み始めた施策も、ご紹介します。

多様な業種での消費の落ち込みは数年単位で続くかも?

Image by Federico Tak from Pixabay

みなさんも日々ニュースでご覧のことと思いますが、コロナの経済的な影響は多岐に渡っています。

下記の記事で、JCBのカード会員100万人分の決済データを元に、各業種の消費額の変化を紹介していました。

写真・図版
主な業種別にみた消費額の前年比推移、朝日新聞2020年4月18日の記事「消費行動、コロナで一変 クレカ決済のビッグデータ分析」(https://www.asahi.com/articles/ASN4J4WC3N4HULFA001.html)より引用

いずれも3月の落ち込みが一番多くなっています。特に前年比のマイナスが激しいのが「遊園地」「映画館」などのエンターテインメント、そして「鉄道旅客」や「ホテル」「航空旅客」といった旅行関連の業種です。

緊急事態宣言が発出された4月は、飲食業や百貨店も休業・営業縮小を余儀なくされているため、おそらくもっと下げ幅が大きくなると思われます。

また、広告業界も大きな影響を受けています。

広告主の売上が下がれば、広告出稿が減るのは当然です。それに加えてオリンピック・パラリンピックの延期もあり、今年の広告業界は大きな不景気に見舞われそうです。

さらに、オリンピックのメディアセンターなどとして使用される予定の東京ビッグサイトも、オリンピックの延期により借り上げ期間が延長されることに。それにより、大会後の12月から貸し出し予定だったイベント数百件が中止や延期、会場変更を強いられます。

その中には、70万人という規模の来場者があるコミケや、東京モーターショーも含まれています。さまざまな展示会など、企業の商談の機会も失われることになります。

そしてもちろん、東京都も1年延長された賃料を追加で負担しなければなりません。

このように、多くの業界に多大な影響を与えているコロナ禍。ハーバード大学の予測によると、短期間でワクチンが開発されなければ、断続的な外出規制などの施策が2022年まで必要、という記事も先日出ました。

ロックダウンや外出自粛などの施策を各国でこれだけ採っていても、数ヶ月という単位ではコロナの流行は終わりそうにありません。社会・経済への直接的な地峡だけを考えても、数年単位で続く可能性があるのです。

「巣ごもり需要」の増加

Image by Anrita1705 from Pixabay

一方で、人々のライフスタイルの変化に伴い、需要が拡大している業界や商品・サービスも存在します。

休校や在宅勤務、外出自粛によって、消費の形も変わってきています。自宅で家族と過ごす時間が増えたため、「巣ごもり消費」と呼ばれる新たな需要が伸びています。

通販の増加

まず注目したいのは、通販の増加です。これは、実店舗が閉まっているためだったり、できるだけ外出を避ける目的から、売上が伸びています。

Amazonのように元からECのみの企業だけでなく、実店舗の代わりにオンラインショップで購入するパターンも増えています。アマゾン・ジャパンは需要の拡大に配送能力が追いつかず、生活必需品以外の制限を開始しました。アメリカでは7万5000人の追加雇用をすると発表しています。

ファッション業界でも、ECへの移行が進んでいます。オンラインでの注文数・売上共に、昨年を上回っています。これまで実店舗で購入していた顧客が、自宅からネットで購入するようになっているのです。

また、食品宅配やネットスーパーも、急激な伸びを見せているようです。

「コロナ特需」も起きている

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また、「コロナ特需」と呼ばれるように、在宅勤務や自宅時間をサポートする商品・サービスの需要が大きく高まっています。

セキュリティ問題が指摘されているZoomを始め、SlackやマイクロソフトのTeamsなど、テレワークでの会議や連絡をサポートするサービスの利用者数が急増中。読者の方もお使いではないでしょうか。

これらのビデオ会議ツールを使って、「Zoom飲み会」や「LINE飲み会」なども開かれていますね。出入り自由、好きなお酒やつまみを手に、家族の顔も見せ合えるとあって、かなり好評です。

「宅飲み」が増えたことで、外食でのお酒の需要が減っているのに反して、家庭内でのお酒の消費量は増えているそうです。

自宅時間を充実させる消費

その他にも、自宅で過ごす時間を充実させるための消費が増えています。3食を自宅で食べるため、惣菜や冷凍食品、テイクアウトも増加しています。

電子調理鍋やホームベーカリー、ホットプレートなどの調理家電も売上を伸ばしているようです。

その他に、家の中で楽しめるゲームやオンラインフィットネス動画も人気です。また、親子で歴史を楽しく学べる歴史コミックなども、子供の自宅時間を少しでも有意義にしたいという親心もあり、売上が伸びています。

海外では、「コロナ疲れ」や「コロナうつ」を解消し、メンタルヘルスを保つための商品も人気が高まっています。日本でも今後流行りそうなのは、ルームフレグランスやキャンドル、メディテーションアプリやリラクゼーションアプリといったところでしょうか。

新しい消費スタイルに対応する企業も

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このように、これまでと需要や消費スタイルが大きく変化しています。業種や業態によっては、かつてない困難に直面しているところも多いでしょう。

一方で、長期化が予測される外出制限施策などに対応して、新しいサービスや商品を打ち出す企業も表れています。売上が激減した飲食店では、テイクアウトサービスを始めたり、Uberに対応しているところも出てきました。

次回の記事では、これらの新しい取り組みについて見ていきたいと思います。

テクノロジーで睡眠をサポートする「スリープテック」に注目

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Image by StockSnap from Pixabay

前回の記事で、睡眠への意識の高まりを背景に、「睡眠ビジネス」が成長しているということを書きました。

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その中で、特に注目を集めているのが「スリープテック」。最新のテクノロジーを使って、睡眠の悩みを解決したり、睡眠の質を高めるサポートをしてくれるものです。

国内外のさまざまな企業が参入しており、大手メーカーからスタートアップまで混在しています。

今回は、その中で面白い事例を取り上げて、分析してみます。

「スリープテック」とは

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スリープテックとは、センサーやスマートウォッチなどのウェアラブル端末、アプリなどを使って睡眠の状態をトラッキングしたり、入眠や熟睡をサポートするといったテクノロジーを指します。

これまでとはまったく異なるアプローチで、寝不足や不眠に悩まされる現代人としては、一度は試してみたくなるものばかりです。

スリープテックの4つの機能

スリープテックとして登場した商品やサービスは、大きく分けて下記の4つの機能を備えています。

  1. 睡眠の状態を計測する
  2. 入眠や熟睡をサポートする
  3. 目覚めをサポートする
  4. 睡眠環境を整える

もちろん、1つの商品やサービスで複数の機能を持っているものも多くあります。

すでにアプリなど、使ってみたことのある方もいるでしょう。ここでは、最新の事例に絞ってみていきます。

最新のスリープテック事例

1. ヘッドバンド型睡眠デバイス

まずは、新しい形の睡眠デバイスから。

フィリップス・ジャパンが2019年11月に発売した「SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド」は、深い睡眠を増やすことで、睡眠の質を向上させることを目的としたヘッドバンド型の商品です。

フィリップス スマートスリープ
画像引用:フィリップス・ジャパンHPより(https://www.philips.co.jp/c-e/hs/smartsleep-deep-sleep-headband.html?origin=7_700000001670376_71700000059476522_58700005429827131_43700049449676754&gclid=CjwKCAiAzJLzBRAZEiwAmZb0akDWQq6x_Fh4Ce5JWFn9gwgP2bv3zkG909doBDfWQihFP8Nkm3iZ1RoCB54QAvD_BwE&gclsrc=aw.ds

このデバイスが脳波を測定し、深い睡眠のときに内蔵スピーカーからオーディオトーンを流します。これにより、深い睡眠の時間を伸ばすことができるというもの。

また、アプリと連動しており、睡眠のデータを可視化してくれます。深い睡眠がどれくらい取れているかをビジュアルで確認できます。

公式サイトのレビューを見てみると、「朝の目覚めがスッキリした」「昼間の眠気を感じなくなった」などの効果があるようです。

価格は現時点では42,380円(税別)とのことで、ややお高めです。

2. 快眠環境サービス

こちらは、パナソニックが寝具メーカーの西川とコラボして提供する「快眠環境サポートサービス」。2020年の3月18日からサービス開始予定とのこと。

動画引用:パナソニック公式HPより(https://ec-club.panasonic.jp/kurashi/sleep/index.html

西川のセンサー搭載マットレスが、睡眠時間、眠りの深さ、寝付くまでの時間、途中で起きた回数などを計測。睡眠の状態を長さ、深さなどといった項目でデータ化し、アプリで表示してくれます。

また、ユーザーの睡眠データに基づき、睡眠アドバイスも受けられます。

さらに、家電と連携して、睡眠状態に合わせてエアコンの温度や風向きを変えたり、照明の明るさを調節してくれます。

まさに、スマートハウスが寝室にも進出してきた形ですね。

マットレスの購入費用が140,800円(税込)、サービス料が990円(税込、月額)とのこと。

3. 睡眠ゲーム

歩行や移動をエンターテインメント化した「Pokemon GO」が、今度は睡眠をエンターテインメント化。

2019年5月の事業戦略発表会では、2020年より「Pokemon Sleep」がサービス開始予定と発表されました。

また、「Pokemon GO Plus +」という新型デバイスも開発。これを枕元に置いて寝ることで、内蔵センサーが睡眠の状態を計測し、ゲームと連動するようです。

画像引用:GAME WATCHより(https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1187131.html

4. 感覚を刺激して睡眠を導くツール

「Sleepion(スリーピオン)」は、聴覚や嗅覚、視覚を刺激して睡眠へと誘う快眠ツール。

リラックスさせる音楽を360°方向に広げ、アロマシートで好きな香りや眠りに導く香り、ロウソクのようにゆらぐ明かりで寝室を睡眠に最適な状態に整えてくれます。

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画像引用:Sleepion公式HPより(https://sleepion.com/

https://sleepion.com/

最新の「Sleepion3」は手頃な価格を追求し、9,800円(税別)という安さ。他の商品よりは試しやすそうですね。

5. 睡眠専用イヤホン

最後は、睡眠専用イヤホンです。「寝ホン」「デジタル耳栓」などと言われ、さまざまな商品が出てきていますね。

また、スリープテックではスタートアップや新規商品開発の動きも盛んです。

その中で、クラウドファンディングで資金調達をしたばかりの「Neurogixs(ニューロジックス)A1」。

これは、自分の好きな音楽を睡眠に適した音楽に変換してくれるイヤホンです。自分の好きな音楽をこのイヤホンで聞くと、睡眠時の脳波(θ波)のサウンドで再生してくれるというもの。

https://oceans.tokyo.jp/health/2020-0123-5/

最後のフロンティア?「スリープテック」はまだまだ拡大途中

現在、既存の企業からスタートアップまで、さまざまなプレイヤーがスリープテック市場に参入しています。

脳波に作用するものから環境を整えるもの、睡眠をエンタメにしてしまうものまで、新たなアプローチが続々と登場しています。今後もこの流れは続き、スリープテック市場は拡大していきそうです。

起きている時間を便利にしたり快適にしたりする商品やサービスはこれまでたんさんありましたが、「寝ている時間」というのは、企業にとってもテクノロジーにとっても、まだまだ未開拓のフロンティアなのかもしれません。

今後も引き続きウォッチしていきたいと思います。

日本は睡眠不足大国!「睡眠ビジネス」がトレンド

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Image by cri92 from Pixabay

このブログでは、仕事に役立つトレンド分析記事も随時アップしていこうと思います。

今回は、「睡眠」に関わるソーシャルトレンドと、それに伴って登場しているさまざまな商品やサービスを分析します。

日本人は慢性的な睡眠不足傾向

睡眠不足や不眠、寝つきの悪さなど、睡眠に問題を抱える人は少なくありません。

特に、睡眠不足は日本人全体の傾向です。世界の国々と比較しても、日本人の平均睡眠時間はかなり短く、特に有職者、女性、子供に顕著です。

OECD加盟国の中でもダントツで睡眠時間の短い国となっています。

(出典:「不眠大国からの脱却ー健康経営における睡眠の視点」ニッセイ基礎研究所https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=61258?site=nli

厚生労働省のデータによると、日本人の睡眠時間は男女ともに7時間未満が7割以上を占めています。6時間未満の人は男性36.1%、女性42.1%も存在します。

『平成29年 国民健康・栄養調査結果の概要』厚生労働省よりグラフ作成https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf

さらに、5人に1人は「睡眠で休養が十分にとれていない」と考えており、近年増加しているようです。

日本人の睡眠時間が短い理由

日本人の睡眠時間が短い理由としては、下記の3つが挙げられています。

  1. 長時間労働
  2. 長時間の通勤
  3. スマホの使いすぎ

いずれも納得できますね。世界的に悪名高い長時間労働に、1時間を超えることも珍しくない通勤時間、そしてSNSYouTubeなどで寝る直前までのスマホ使用。これらの時間に、睡眠時間が影響を受けてしまっているのです。

睡眠負債」がからだの不調を招く

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短い睡眠を続けることで、体や心に悪影響が生じてしまう、それが2017年の流行語にも選ばれた睡眠負債

これはスタンフォード大学のWilliam C. Dement教授が提唱した言葉で、毎日少しずつの睡眠不足が借金のように積み重なることで、心身の不調を招く可能性を高めてしまうというものです。

(参考:Wikipedia睡眠負債https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9D%A1%E7%9C%A0%E8%B2%A0%E5%82%B5

例えば、毎日7時間の睡眠が必要な人が、6時間睡眠を続けていると、次第に脳のパフォーマンスが下がってきます。徹夜に比べると本人は自覚しづらいのですが、少しずつ「負債」が増えていくのです。

この「負債」が積み重なると、うつやがん、認知症のリスクが高まるとされています。

東北大学が、女性およそ2万3995人を7年間追跡し、睡眠時間と乳がんの発症リスクの関係を調べた研究では、平均睡眠時間が6時間以下の人は、7時間寝ている人に対して乳がんのリスクがおよそ1.6倍になることがわかった。

出典:NHKHP『NHKスペシャル 睡眠負債が危ない』よりhttps://www.nhk.or.jp/special/sleep/detail.html

日本人の半数は不眠症

忙しくて睡眠時間を確保できない、というだけではありません。眠りたくても眠れない、夜中に何度も目が覚めてしまって熟睡できない、といった悩みをもたらす「不眠症」「睡眠障害」も日本人にとっては大きな問題です。

寝具メーカーの西川株式会社が1万人を対象に行なった睡眠調査によると、なんと日本人の約半数は「不眠症の疑いあり」との結果が出ました。

高齢者には不眠で悩む人が増える傾向がありますが、この調査では20-30代で不眠の割合が高く、ストレスや不安による不眠が多く存在しているのでは、という結果でした。

睡眠の悩みのさまざまな解決法

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このように、睡眠不足や不眠への問題意識が高まっている近年ですが、それを解決するために、これまでもさまざまなメソッドやツールが取り入れられてきました。

例えば、

  • より体に合った枕やマットレスを使う。
  • アイマスクや耳栓を使い、外部の刺激を少なくする。
  • 「午前中に陽の光を浴びる」「寝る前2時間はスマホを見ない」といった睡眠改善のための行動をとる。
  • リラックス効果があるハーブティーを飲む。

といったことが挙げられます。枕やマットレスは、数万円もする高額な商品が人気を集めてきています。

さらに、最近ではさまざまなアプローチで睡眠の改善を謳った商品やサービスが登場しています。

睡眠改善薬

2003年ごろから、「ドリエル」「スリーピン」のような睡眠改善薬も販売されています。これらはOTC(薬局やドラッグストアなどで処方箋なしに買える市販薬)として、簡単に入手できるものです。

処方薬である睡眠薬とは異なり、一時的な不眠を改善すると訴求しています。

ドリエルドリエルEXは病院で処方される睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)とは異なり、OTC医薬品のかぜ薬や鼻炎薬などに含まれる抗ヒスタミン剤の一種、ジフェンヒドラミン塩酸塩を配合しており、その作用で一時的な不眠症状を緩和します。

出典:ドリエル公式HP https://www.ssp.co.jp/drewell/products/difference.html

睡眠の質を高める機能性食品

もう一つ、食で眠りを改善しようという試みも興味深いです。「ストレスを低減する」と謳うチョコレート「GABA」が、2019年に睡眠の質を高める「GABA for Sleep」を発売。副交感神経を優位にするγ-アミノ酪酸の効果だそうです。


食べた人の体験談をTwitterで見てみると、意外と効果があるようですよ!

国内市場1兆円以上!拡大する睡眠ビジネス

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睡眠改善へのニーズが増大するのに合わせて、「睡眠ビジネス」も発展しています。新しいアプローチで不眠を改善したり、睡眠の質を上げる商品やサービスも次々と登場しています。

国内の市場規模は1兆円以上とも言われ、日本人の睡眠への意識の高まりとともに、今後さらに拡大が見込まれます。

睡眠をサポートする服

Sleepdaysは、リカバリーウェアという機能性衣類を販売。金属を配合した特殊繊維で作られたこのウェアは、体の血行を良くして体温をコントロールし、安眠へと導きます。レギンスやシャツ、アイピローなどが展開されています。

パフォーマンスを上げる「パワーナップ

体と脳の疲労を回復し、ビジネスパーソンのパフォーマンスを上げることを謳う「ZERO GYM」では、疲労回復のさまざまなプログラムにより、睡眠の質も向上することを訴求しています。

その中でも、「パワーナップ」と呼ばれるプログラムは、20分程度の短時間の昼寝をするというもの。

NASAGoogleなど世界の一流機関・企業でも採用され、仕事のパフォーマンスを劇的に高めることが科学的にも証明されている昼の短時間睡眠「パワーナップ」。

ZERO GYM公式HPより引用 https://zerogym.jp/program/#powerNapLink

昼休みに行われ、セルフマッサージや瞑想により仮眠へと誘導し、午後のパフォーマンスを上げるというコンセプトです。

さらなる進化系「スリープテック」

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拡大する睡眠関連市場を背景に、最新テクノロジーを使って睡眠をサポートする「スリープテック」が登場しています。

国内外で、大手メーカーからスタートアップまで、さまざまな企業が多種多様なアプローチを仕掛けています。

センサー技術を使った睡眠分析やアプリによるトラッキング、そして新たな機器による入眠誘導などが続々と現れはじめました。

次回の記事では、このスリープテックを詳しく見ていきます。

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