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新型コロナウィルスの影響で変わる消費スタイル

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Image by Anrita1705 from Pixabay

新型コロナウィルスの流行により、日本では全国に緊急事態宣言が発令され、小・中・高校の全国一斉休校、イベントの中止、そして在宅勤務と、多くの人々が外出を避け、自宅で過ごす時間が長くなっています。

その影響で、多くの飲食業やイベント関連業、旅行業、さらに学校や飲食店に食品を提供していた生産農家といった業界で、需要の大きな落ちこみが起きています。

今回の記事では、コロナの影響による需要の落ち込みの概要をおさらいしつつ、外出自粛の影響で変化する消費スタイルについて注目したいと思います。また、生き残りをかけ、さまざまな業種がそのスタイルに合わせて取り組み始めた施策も、ご紹介します。

多様な業種での消費の落ち込みは数年単位で続くかも?

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みなさんも日々ニュースでご覧のことと思いますが、コロナの経済的な影響は多岐に渡っています。

下記の記事で、JCBのカード会員100万人分の決済データを元に、各業種の消費額の変化を紹介していました。

写真・図版
主な業種別にみた消費額の前年比推移、朝日新聞2020年4月18日の記事「消費行動、コロナで一変 クレカ決済のビッグデータ分析」(https://www.asahi.com/articles/ASN4J4WC3N4HULFA001.html)より引用

いずれも3月の落ち込みが一番多くなっています。特に前年比のマイナスが激しいのが「遊園地」「映画館」などのエンターテインメント、そして「鉄道旅客」や「ホテル」「航空旅客」といった旅行関連の業種です。

緊急事態宣言が発出された4月は、飲食業や百貨店も休業・営業縮小を余儀なくされているため、おそらくもっと下げ幅が大きくなると思われます。

また、広告業界も大きな影響を受けています。

広告主の売上が下がれば、広告出稿が減るのは当然です。それに加えてオリンピック・パラリンピックの延期もあり、今年の広告業界は大きな不景気に見舞われそうです。

さらに、オリンピックのメディアセンターなどとして使用される予定の東京ビッグサイトも、オリンピックの延期により借り上げ期間が延長されることに。それにより、大会後の12月から貸し出し予定だったイベント数百件が中止や延期、会場変更を強いられます。

その中には、70万人という規模の来場者があるコミケや、東京モーターショーも含まれています。さまざまな展示会など、企業の商談の機会も失われることになります。

そしてもちろん、東京都も1年延長された賃料を追加で負担しなければなりません。

このように、多くの業界に多大な影響を与えているコロナ禍。ハーバード大学の予測によると、短期間でワクチンが開発されなければ、断続的な外出規制などの施策が2022年まで必要、という記事も先日出ました。

ロックダウンや外出自粛などの施策を各国でこれだけ採っていても、数ヶ月という単位ではコロナの流行は終わりそうにありません。社会・経済への直接的な地峡だけを考えても、数年単位で続く可能性があるのです。

「巣ごもり需要」の増加

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一方で、人々のライフスタイルの変化に伴い、需要が拡大している業界や商品・サービスも存在します。

休校や在宅勤務、外出自粛によって、消費の形も変わってきています。自宅で家族と過ごす時間が増えたため、「巣ごもり消費」と呼ばれる新たな需要が伸びています。

通販の増加

まず注目したいのは、通販の増加です。これは、実店舗が閉まっているためだったり、できるだけ外出を避ける目的から、売上が伸びています。

Amazonのように元からECのみの企業だけでなく、実店舗の代わりにオンラインショップで購入するパターンも増えています。アマゾン・ジャパンは需要の拡大に配送能力が追いつかず、生活必需品以外の制限を開始しました。アメリカでは7万5000人の追加雇用をすると発表しています。

ファッション業界でも、ECへの移行が進んでいます。オンラインでの注文数・売上共に、昨年を上回っています。これまで実店舗で購入していた顧客が、自宅からネットで購入するようになっているのです。

また、食品宅配やネットスーパーも、急激な伸びを見せているようです。

「コロナ特需」も起きている

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また、「コロナ特需」と呼ばれるように、在宅勤務や自宅時間をサポートする商品・サービスの需要が大きく高まっています。

セキュリティ問題が指摘されているZoomを始め、SlackやマイクロソフトのTeamsなど、テレワークでの会議や連絡をサポートするサービスの利用者数が急増中。読者の方もお使いではないでしょうか。

これらのビデオ会議ツールを使って、「Zoom飲み会」や「LINE飲み会」なども開かれていますね。出入り自由、好きなお酒やつまみを手に、家族の顔も見せ合えるとあって、かなり好評です。

「宅飲み」が増えたことで、外食でのお酒の需要が減っているのに反して、家庭内でのお酒の消費量は増えているそうです。

自宅時間を充実させる消費

その他にも、自宅で過ごす時間を充実させるための消費が増えています。3食を自宅で食べるため、惣菜や冷凍食品、テイクアウトも増加しています。

電子調理鍋やホームベーカリー、ホットプレートなどの調理家電も売上を伸ばしているようです。

その他に、家の中で楽しめるゲームやオンラインフィットネス動画も人気です。また、親子で歴史を楽しく学べる歴史コミックなども、子供の自宅時間を少しでも有意義にしたいという親心もあり、売上が伸びています。

海外では、「コロナ疲れ」や「コロナうつ」を解消し、メンタルヘルスを保つための商品も人気が高まっています。日本でも今後流行りそうなのは、ルームフレグランスやキャンドル、メディテーションアプリやリラクゼーションアプリといったところでしょうか。

新しい消費スタイルに対応する企業も

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このように、これまでと需要や消費スタイルが大きく変化しています。業種や業態によっては、かつてない困難に直面しているところも多いでしょう。

一方で、長期化が予測される外出制限施策などに対応して、新しいサービスや商品を打ち出す企業も表れています。売上が激減した飲食店では、テイクアウトサービスを始めたり、Uberに対応しているところも出てきました。

次回の記事では、これらの新しい取り組みについて見ていきたいと思います。