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日本は睡眠不足大国!「睡眠ビジネス」がトレンド

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Image by cri92 from Pixabay

このブログでは、仕事に役立つトレンド分析記事も随時アップしていこうと思います。

今回は、「睡眠」に関わるソーシャルトレンドと、それに伴って登場しているさまざまな商品やサービスを分析します。

日本人は慢性的な睡眠不足傾向

睡眠不足や不眠、寝つきの悪さなど、睡眠に問題を抱える人は少なくありません。

特に、睡眠不足は日本人全体の傾向です。世界の国々と比較しても、日本人の平均睡眠時間はかなり短く、特に有職者、女性、子供に顕著です。

OECD加盟国の中でもダントツで睡眠時間の短い国となっています。

(出典:「不眠大国からの脱却ー健康経営における睡眠の視点」ニッセイ基礎研究所https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=61258?site=nli

厚生労働省のデータによると、日本人の睡眠時間は男女ともに7時間未満が7割以上を占めています。6時間未満の人は男性36.1%、女性42.1%も存在します。

『平成29年 国民健康・栄養調査結果の概要』厚生労働省よりグラフ作成https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf

さらに、5人に1人は「睡眠で休養が十分にとれていない」と考えており、近年増加しているようです。

日本人の睡眠時間が短い理由

日本人の睡眠時間が短い理由としては、下記の3つが挙げられています。

  1. 長時間労働
  2. 長時間の通勤
  3. スマホの使いすぎ

いずれも納得できますね。世界的に悪名高い長時間労働に、1時間を超えることも珍しくない通勤時間、そしてSNSYouTubeなどで寝る直前までのスマホ使用。これらの時間に、睡眠時間が影響を受けてしまっているのです。

睡眠負債」がからだの不調を招く

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短い睡眠を続けることで、体や心に悪影響が生じてしまう、それが2017年の流行語にも選ばれた睡眠負債

これはスタンフォード大学のWilliam C. Dement教授が提唱した言葉で、毎日少しずつの睡眠不足が借金のように積み重なることで、心身の不調を招く可能性を高めてしまうというものです。

(参考:Wikipedia睡眠負債https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9D%A1%E7%9C%A0%E8%B2%A0%E5%82%B5

例えば、毎日7時間の睡眠が必要な人が、6時間睡眠を続けていると、次第に脳のパフォーマンスが下がってきます。徹夜に比べると本人は自覚しづらいのですが、少しずつ「負債」が増えていくのです。

この「負債」が積み重なると、うつやがん、認知症のリスクが高まるとされています。

東北大学が、女性およそ2万3995人を7年間追跡し、睡眠時間と乳がんの発症リスクの関係を調べた研究では、平均睡眠時間が6時間以下の人は、7時間寝ている人に対して乳がんのリスクがおよそ1.6倍になることがわかった。

出典:NHKHP『NHKスペシャル 睡眠負債が危ない』よりhttps://www.nhk.or.jp/special/sleep/detail.html

日本人の半数は不眠症

忙しくて睡眠時間を確保できない、というだけではありません。眠りたくても眠れない、夜中に何度も目が覚めてしまって熟睡できない、といった悩みをもたらす「不眠症」「睡眠障害」も日本人にとっては大きな問題です。

寝具メーカーの西川株式会社が1万人を対象に行なった睡眠調査によると、なんと日本人の約半数は「不眠症の疑いあり」との結果が出ました。

高齢者には不眠で悩む人が増える傾向がありますが、この調査では20-30代で不眠の割合が高く、ストレスや不安による不眠が多く存在しているのでは、という結果でした。

睡眠の悩みのさまざまな解決法

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このように、睡眠不足や不眠への問題意識が高まっている近年ですが、それを解決するために、これまでもさまざまなメソッドやツールが取り入れられてきました。

例えば、

  • より体に合った枕やマットレスを使う。
  • アイマスクや耳栓を使い、外部の刺激を少なくする。
  • 「午前中に陽の光を浴びる」「寝る前2時間はスマホを見ない」といった睡眠改善のための行動をとる。
  • リラックス効果があるハーブティーを飲む。

といったことが挙げられます。枕やマットレスは、数万円もする高額な商品が人気を集めてきています。

さらに、最近ではさまざまなアプローチで睡眠の改善を謳った商品やサービスが登場しています。

睡眠改善薬

2003年ごろから、「ドリエル」「スリーピン」のような睡眠改善薬も販売されています。これらはOTC(薬局やドラッグストアなどで処方箋なしに買える市販薬)として、簡単に入手できるものです。

処方薬である睡眠薬とは異なり、一時的な不眠を改善すると訴求しています。

ドリエルドリエルEXは病院で処方される睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)とは異なり、OTC医薬品のかぜ薬や鼻炎薬などに含まれる抗ヒスタミン剤の一種、ジフェンヒドラミン塩酸塩を配合しており、その作用で一時的な不眠症状を緩和します。

出典:ドリエル公式HP https://www.ssp.co.jp/drewell/products/difference.html

睡眠の質を高める機能性食品

もう一つ、食で眠りを改善しようという試みも興味深いです。「ストレスを低減する」と謳うチョコレート「GABA」が、2019年に睡眠の質を高める「GABA for Sleep」を発売。副交感神経を優位にするγ-アミノ酪酸の効果だそうです。


食べた人の体験談をTwitterで見てみると、意外と効果があるようですよ!

国内市場1兆円以上!拡大する睡眠ビジネス

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睡眠改善へのニーズが増大するのに合わせて、「睡眠ビジネス」も発展しています。新しいアプローチで不眠を改善したり、睡眠の質を上げる商品やサービスも次々と登場しています。

国内の市場規模は1兆円以上とも言われ、日本人の睡眠への意識の高まりとともに、今後さらに拡大が見込まれます。

睡眠をサポートする服

Sleepdaysは、リカバリーウェアという機能性衣類を販売。金属を配合した特殊繊維で作られたこのウェアは、体の血行を良くして体温をコントロールし、安眠へと導きます。レギンスやシャツ、アイピローなどが展開されています。

パフォーマンスを上げる「パワーナップ

体と脳の疲労を回復し、ビジネスパーソンのパフォーマンスを上げることを謳う「ZERO GYM」では、疲労回復のさまざまなプログラムにより、睡眠の質も向上することを訴求しています。

その中でも、「パワーナップ」と呼ばれるプログラムは、20分程度の短時間の昼寝をするというもの。

NASAGoogleなど世界の一流機関・企業でも採用され、仕事のパフォーマンスを劇的に高めることが科学的にも証明されている昼の短時間睡眠「パワーナップ」。

ZERO GYM公式HPより引用 https://zerogym.jp/program/#powerNapLink

昼休みに行われ、セルフマッサージや瞑想により仮眠へと誘導し、午後のパフォーマンスを上げるというコンセプトです。

さらなる進化系「スリープテック」

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拡大する睡眠関連市場を背景に、最新テクノロジーを使って睡眠をサポートする「スリープテック」が登場しています。

国内外で、大手メーカーからスタートアップまで、さまざまな企業が多種多様なアプローチを仕掛けています。

センサー技術を使った睡眠分析やアプリによるトラッキング、そして新たな機器による入眠誘導などが続々と現れはじめました。

次回の記事では、このスリープテックを詳しく見ていきます。

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